GLM GRADE

GRADE™(Genelec Room Acoustic Data Evaluation)GLM

GLM GRADE

GRADE™(Genelec Room Acoustic Data Evaluation)は、GLMに新たに搭載されたパワフルなレポート作成ツールです。リスニング・ルームとモニタリング・システムのパフォーマンスの詳細な分析結果を作成し、音響処理やモニター/リスニング・ポジションの微調整、ベース・マネージメントの最適化を効果的に行うために必要な情報を提供します。

※GRADEに関するビデオの日本語版は近日公開予定です。

GRADEにようこそ


GRADEレポートでは、分かりやすく色付けした表を用いて測定の概要を確認できます。詳細な測定データや改善のための提案レポートを読む前に、システムの大まかな状態を把握することは大切です。

表内の緑色のセルは、申し分のないシステム・パフォーマンスが得られていることを示しています。黄色のセルはシステム・パフォーマンスが良好で改善が見込める事を示し、 赤色のセルは対策を施すことでシステムの大幅な向上が見込める事を示しています。

GRADEの概要表の一部。全体の表は レポート例2: Immersive Monitoringをご参照ください。

注意:GRADEレポートの作成には、Genelec SAMモニター、GLM 4.2ソフトウェア、GLMキット、Genelec Communityアカウント(無料)が必要です。
GRADEレポートは、2022年末まで無償でご使用いただけます。GRADEレポートは英語のみでのご提供となります。

周波数領域解析


周波数レスポンス・グラフ

GLMソフトウェアでお馴染みの周波数レスポンス・グラフです。キャリブレート後に表示されるシステムの周波数レスポンス(赤い線)、GLM補正フィルター(青い線)、補正後のレスポンス(緑の線)を確認できます。GLMはフラットなレスポンスを目標にキャリブレーションを行い、可能な限り優れた作業環境を提供します。


200 Hz以下にディップはありません。

75 Hzに顕著なディップが確認できます。これは約1.14 m離れた後壁からの反射が原因と思われます(1/4波長ルール)。スピーカーを壁面に近づけることでレスポンスを改善できる可能性があります。


低音域の拡張

すべてのGenelecモニターは、そのサイズからは想像できない程の優れた低域の伸びを実現しています。一方で、各モニターの低域レスポンスは、設置位置と室内音響の影響を様々な形でを受けているのも事実です。GRADEでは、システムの中音域で測定された音圧の平均値を基準とし、その半分まで低域のレベルが落ち込むポイントをスペクトル上で特定します「-6 dBポイント」と呼ばれるこのレベル減衰を確認することにより、リスニング・ルームにおけるモニターおよびサブウーファーのパフォーマンスを無響室での基準値と比較することができ、スピーカーの位置を調整して低域の伸びを最適化する際に役立つ情報を提供します。たとえば、モニターを壁面や部屋の隅に近づけることで生じる低域のサミングを利用し、-6 dBポイント下げることができます。

またGRADEは、サブウーファーの高域レスポンスにおける-6 dBポイントも測定します。


システムの低域レスポンスが、壁との近接効果によって拡張されています。


ピークとノッチ

ピークとノッチのグラフでは、リスニング・ルームが各モニターの周波数レスポンスに与える影響を確認できます。キャリブレート前の測定値によって作られるこのグラフは、部屋のサイズ、音響処理、硬い反射物との位置関係など、様々な要素によって変化します。モニター位置や室内音響の調整、その他のマイナス要因に対する対策によって、どれだけ最適化が可能かを把握することができます。


印の付いたノッチは、特に注目すべき箇所です。これらのノッチは、ある距離に存在する硬い表面での反射によって生じた周波数キャンセルが原因である可能性があります。これらの問題を改善するため、反射物の配置を調整する必要があります。

時間領域解析


到達時間

ステレオ・セットアップやマルチチャンネル・セットアップでは、各モニターとリスニング・ポジションとの距離が同じとき、サウンド・イメージが最適になります。モニターとリスニング・ポジションを理想的な位置に配置できない場合は、GLMで遅延とゲインを調整することで、各モニターからの到達時間を一致させることができ、リスニング・ポジションと各モニターが等距離に設置されているかの様な効果をエミュレートできます。その他の測定結果と同様、直感的で視覚的にデータを確認できるため、より深くシステムの状況を解釈できます。


ステレオ・ペアの到達時間。測定時間の値がほぼ同じになると、サウンド・イメージは正しい位置に再現されます。


すべての初期反射

初期反射は、システムから放出された音が家具や壁などの表面で反射することで発生します。これらの反射音がスピーカーからの直接音と混ざることで、サウンドの不要な色付けや、ステレオ・イメージが崩れる原因となります。GRADEでは、リスニング・ルームで生じたあらゆる初期反射を解析し、各初期反射音と直接音のレベルを比較します。この情報をもとに、初期反射による悪影響の改善/解消方法を探ることができます。


吸音材を用いて初期反射が適切に処理されている様子。高レベルの反射は1つのみに抑えられています。

より多くの初期反射(1~4)が検出された例。吸音材でこれらを改善できる可能性があります。


直接音と遅延音の関係

ミキシング作業であろうと、音楽のリスニングであろうと、モニターからの直接音を聴くのが最適であることに違いはありません。GRADEでは、20ミリ秒以内にリスニング・ポジションに到達するすべての音と、後から遅れて到達する反射音を比較します。現在リスニング・ポジションで十分なレベルの直接音をモニターできているかを判断し、音響処理の参考にすることができます。


室内に設置した吸音材が、400 Hz以上の帯域にかなり効果的に機能しているのが確認できます。この帯域における直接音と反射音の比率は、非常に良好です。

吸音材を設置していないリビング・ルームにおける長距離のリスニング・ポジションでの測定結果。直接音と反射音のレベルがほぼ同じであることが分かります。ルーム・チューニングを調整するか、リスニング・ポジションをシステムに近づけることで改善する可能性があります。

時間-周波数領域解析


残響時間

GRADEの残響時間(RT60)チャートは、9つの主要な周波数帯域の減衰時間(T60)を1オクターブ間隔で示します。リスニング・ルームのRT60は、各帯域で測定されたT60減衰時間の平均値です。リスニング・ルームのT60の値がすべての周波数帯域を通して均一であれば、解像度が高くバランスの取れたサウンドをモニターできることを意味します。特に中音域において理想的な結果であることが重要です。


ベース・トラップなどの低域対策を施すことで、低域の残響時間の改善に繋がります。


ウォーターフォール

GRADEのウォーターフォール解析は、周波数毎に異なる減衰時間によって生じる問題を把握できます。音響処理の効果を評価するのに役立つ情報を得ることができます。このグラフを見ることで、リンギング(Ringing)と呼ばれる長時間の減衰が生じる箇所を特定でき、マスキングや不要な室内音によって、リスニングやレコーディング体験に悪影響を与える原因を把握できます。一般的に、低域とルーム・モードの音は、中高域よりも長く鳴り続けます。


100 Hz以上の減衰時間が適切に抑えられています。 ベース・トラップなどを追加することで、低域の減衰時間をより改善できる可能性があります。

未対策のリビング・ルームで計測された長い減衰時間。ルーム・チューニングを調整するか、リスニング・ポジションをシステムに近づけることで改善する可能性があります。


ウェーブレット

ウェーブレット解析は、時間と周波数の関係をウォーターフォール解析よりも詳細に確認できます。共鳴にフォーカスしているウォーターフォール解析よりも高解像度のデータを確認でき、部屋の反射についてより深く理解するためのデータを提供します。ウェーブレット・グラフは、音響処理とシステム配置のいずれの評価にも役立てることができます。


音響対策により初期反射が適切に抑えられています。赤、オレンジ、黄のスパイクが、特に高域においてほぼ見られません。青色は低レベルの反射を示します。

初期反射が多い未対策の部屋で測定(赤、オレンジ、黄色が多く見られます)。


ITU-R BS1116への準拠


オペレーショナル・ルーム・レスポンス・カーブのチェック

ITU-R BS.1116は、放送局などが視聴空間の品質を評価するために使用している推奨基準です。この勧告に準拠する空間は、プロ・オーディオ業務に非常に適していると判断されます。GRADEを使う事で、作業環境がITU-R BS.1116勧告に準拠しているかどうかを簡単に確認できます。

リスニング・ポジションでの周波数レスポンスは、オペレーショナル・ルーム・レスポンスと呼ばれています。すべての周波数がほぼ同一レベルとなるグラフが理想的であり、ITU-R勧告に準拠しながらニュートラルで色付けの無いリスニング体験が得られることを意味します。緑色の線は、レスポンス・カーブが完全にフラットな値からどこまでの範囲に収まれば、顕著な色付けが付与されず、勧告にも準拠できるのかを示したものです。


キャリブレートの結果、システムが左右のモニター共に勧告に100%準拠していることが確認できます。


初期反射のチェック

時間領域解析(上述)の初期反射測定のデータを用いて、リスニング・ルームの初期反射が、ITU-R勧告(初期反射音が直接音に対して-10 dB)を満たしているかを確認できます。


初期反射の1つが-10 dB以上の制限を超えているのが確認できます。


残響時間のチェック

GRADEでは、リスニング・ルームの残響時間性能を、ITU-Rのガイドラインと比較します。ガイドラインの推奨値はリスニング・ルームの音響体積によって異なるため、まずはこれを特定する必要があります。音響体積は、リスニング・ルームの壁面までのサイズを測定することで導き出すことができます。吸音性柔らかい素材は考慮されないため、音響体積は見た目の体積よりも大きくなる場合があります。


300 Hz以下で過度に長い残響時間が確認できます。ベース・トラップで低域を改善できる可能性があります。

レポート例


例1:ニアフィールド・モニタリング

2.1 ニアフィールド・モニタリング、リスニング距離 1.1 m、室内容積 18m3。

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例2:イマーシブ・モニタリング

イマーシブ・モニタリング、室内容積 254 m3。

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