"Ado" GenelecAdo

Genelec delivers immersive audio for Miru NYC, City Winery’s new high-end Japanese rooftop experience at Pier 57
2020AdoAdo 5th Anniversary Exhibition "Adotomy""Ado" AdoAdo23GenelecHibana

2フロアで構成された東京会場、その後半の幕開けを飾るエスカレーターを上り始めると徐々に聴こえてくるサウンドは、まるでコンサート・ホールさながらの熱気を帯びたもの。それでありながら、Adoの歌声や歓声はクリアで、ライブの追体験を心ゆくまで堪能できる音響デザインがなされています。「Adoの未来」と銘打たれた展示へと続くこの立体音響ライブは、まさに彼女の「現在」の姿を示す非常に重要な役割を担いました。

この立体音響ライブを実現するために求められたのは、「エリア全体をリスニング・ポイントとすることだった」と立体音響エリアの全体プロデュースおよび制作を担当したSoVeC株式会社のジェネラル・マネージャーの今井 環氏は話します。

Adotomy

「本展示は、ユニバーサルミュージッククリエイティブの展覧会の特別コンテンツとして "展覧会に来場した人だけが体験できる特別な没入コンテンツ" として企画されたものです。Adoのメジャーデビュー5周年を記念した展覧会のスペシャル企画として、世界33都市・50万人以上を動員したAdo WORLD TOUR 2025 "Hibana" より、オーランド公演から2曲のライブ音源を立体音響化し、来場者をライブ会場さながらの臨場空間へ誘う体験型コンテンツとして実現しました。ライブ会場に入っていく時の高揚感や、会場内を歩き回ることで場所ごとに異なる体験ができるなど、ライブのリアルを超越する "音のXR体験" ならではのコンセプトで設計しています。会場の形状や残響特性を緻密に計算することで、来場者が自由に動き回りながらそれぞれの場所で最適な音響体験を楽しめる空間が実現できたと考えています」

この空間づくりのために採用されたのが、GenelecのThe OnesSAM(Smart Active Monitor)2ウェイ・スタジオ・モニター/サブウーファーなどを合計17台使用したシステムでした。

Adotomy

東京会場のL/C/Rに使用された8331A


今回のスピーカー選定およびサウンド・システムの構築を担当したSoVeCの音のXR体験の事業責任者の古賀康之氏は、次のように説明します。

「サウンド・システムを決定する際には、もちろん様々なディスカッションを行いました。今回はライブを再現するという内容から、最初はライン・アレイ・スピーカーを使用するというアイデアも出たのですが、空間の広さも当然異なるので、ライブ会場と同じシステムを持ってきてもイコールにはなりません。その一方で、Genelecは私たちSoVeCもユニバーサルミュージック様も普段から使っていたので、バランスの良い音をベースに狙ったサウンド体験が作り出せると確信できたことから、採用が決定しました」

また、限られた期間で東京と大阪の異なる会場で行うこと、そしてオーランド公演と展覧会の会場という異なる空間でどのようにライブを再構築するか、ということが大きな課題となったと振り返ります。

Miru NYC web image 2

会場の中間、後方には天井だけではなく床にもスピーカーを設置。コンパクトなサイズと様々な取り付け方法が想定されたGenelecのスピーカーは、制約の多い会場でも理想的な設置をサポートすることが可能

Genelec

「"音のXR体験" はゲームサウンドエンジンであるvaud*1という、リアルタイムにインタラクティブなサウンドを再現するシステムと、ソニーの立体音響プレイヤー*2を使用することで、あらゆる形状の空間に配置した複数のスピーカーを統合制御し、思い通りの空間体験を実現します。スピーカーの数や配置場所に制約はありません。通路や柱の裏、天井など様々な位置にスピーカーを配置して、会場感や残響の広がりといった演出を実現できたのは、vaudだからこそと言えます。Genelecのスピーカーは様々な取り付け方法が想定されて設計されているので、制約のある環境でも自由に設置できることも大きな魅力でしたね」

*1 寺坂波操株式会社が開発したインタラクティブサウンドエンジンvaud
*2 ソニー株式会社技術開発研究所が開発した立体音響技術

音響表現とバランス調整にあたっては、実際のオーランド公演の会場となったKia Centerの空間特性を計測・数値化。アリーナ特有の「低音の流れ」や残響音と直接音のバランス調整により、どの位置でもAdoの歌声が明瞭に聴こえるように工夫が凝らされました。

今回の立体音響制作では、SoVeCとイマーシブ・オーディオの制作に強みをもつ山麓丸スタジオの技術者が双方のノウハウを活かして、ライブ・サウンドにおける新しいXR体験を模索しながら制作されたそうです。Genelecのスピーカーについて山麓丸スタジオのイマーシブサウンドクリエイターであるChester Beatty氏はこう語ります。

「Genelecは "空間を鳴らす" ことができる数少ないメーカーのひとつです。素晴らしい音響空間のコンサート・ホールや劇場では個々の楽器が奏でるのではなく、空間が響きます。Genelecのスピーカーも同様にスピーカーが鳴るのではなく、ひとつひとつのスピーカーが連動しながら空間で響きを作り上げます。マルチチャンネル・スピーカーを用いたロケーション・ベース・エンターテイメント(LBE)や展示会等ではスピーカーにこのような表現を可能とする特性が必要とされるのですが、私たちは毎案件ごとにファースト・オーダーでGenelecのスピーカーをチョイスしています」

Miru NYC web image 2

大阪会場となった「なんばスカイオ7階コンベンションホール」での展示の様子。ここでもGenelecのスピーカーを使用して立体音響によるライブ再現が行われた


来場者を包み込む観客の歓声はvaudを使用してリアルタイムで生成されるなど、随所にこの場所でしか体験できないという特別な価値を盛り込んだAdotomyの立体音響ライブ。そのクオリティは、実際に足を運んだファンたちの反応からも明らかです。

「"本当にライブさながらのパワフルな歌唱を全身に浴びられて最高" といった没入体験への感動の声が多数寄せられました。また、有料イベントにも関わらず "正直一回じゃ足りない。何度でも行きたい" といった複数回来場への強い意欲を示す投稿や、実際に複数回来場して立体音響エリアを満喫されたという来場者もいらっしゃいました。展覧会の特別コンテンツとして、繰り返し会場へ足を運んでもらえるほどの深い感動体験を提供できたことは、私たちにとっても大きな成果となりました」