Blog | GLM

80GLM(Genelec Loudspeaker Manager)

■ サウンドキャラクターの異なるグループを作る

■ グループ名の変更方法

■ リスニング・ポジションが異なるグループを作る

■ グループごとに異なるレベルオフセットを設定する

■ 異なるシステムレイアウトをグループで切り替える


グループとは、GLMの中に複数のキャリブレーション・データ、スピーカー・レイアウト、その他諸々の設定を「プリセット」として登録し、作業内容によって瞬時に切り替えることができる大変便利な機能です。

GLM 4の使い方の基本  - 2.グループの活用法 -

グループのボタンは、メイン画面の右カラムに表示されます。GLMの初回セットアップを行った際に、まずはひとつ目のグループが作成されているはずですが、ここでは、そのグループを複数作って、日々の作業をより快適にするための方法をご紹介いたします。

 

ー TIPS ー

GLMの初回セットアップに関しましては、こちらのブログをご覧ください。
GLM の使い方|基本設定とキャリブレーション

 


グループは、新規に「追加」することも、作成済みのグループを「複製」して、それをベースに設定することもできます。

では、早速やってみましょう!


まずは、初回セットアップ時に作成されたグループを「複製」して、2つ目のグループを作成してみましょう。

本ページで作成する2つ目のグループは、「全体的にウォームで低域豊かなサウンド」とします。GLMでは、システム全体のサウンドキャラクターを変更する際も、「サウンドキャラクタープロファイラー機能」を活用することで、簡単に設定ができます。

1:すでに作成してあるグループを選択し、ツールバーの“グループプリセット”>“複製”と進んでください。

GLMの使い方  - グループの活用法 -

 

2:元となるグループと全く同じグループ(AutoCalの測定データを含む)が複製されます。

GLMの使い方 - グループの活用法 -

 

3:“グループプリセット”>“サウンドキャラクタープロファイラー”を選択してください。

GLM 4の使い方の基本  - 2.グループの活用法 -

 

4:「サウンドキャラクタープロファイラー」というウインドウが立ち上がります。このウインドウでは、システム全体のスペクトルのバランスが調整でき、システム全体の音色傾向を調整することができます。

GLM 4の使い方の基本  - 2.グループの活用法 -

サウンドキャラクタープロファイラーでは、“Low Shelf 1+”と“High Shelf 1+”の周波数とそれぞれのゲインを設定することができます。数値は任意の値を直接入力するか、もしくは“”“”のボタンをクリックして調整してください。

例えば、「全体的にウォームで低域豊かなサウンド」としたい場合、サウンドキャラクタープロファイラー上で中高域を抑えることで、相対的に低域を持ち上げることができます。今回の画面では、“High Shelf 1+”を100Hzとして、ゲインを−2dBに設定していますが、皆様のお好みに合わせて調整してください。

 

ー TIPS ー

この機能はステレオだけではなく、サラウンドやイマーシブのセットアップでも使用することができます。全てのスピーカーを一括で調整できるため、時間を大幅に節約できることもメリットです。

 


グループの名前を変更するには、“グループプリセット”>”編集”を開くと表示される「SAMグループ作成」のウインドウ左上にある“グループ名”の欄に任意の名前を入力してください。

GLM 4の使い方の基本  - 2.グループの活用法 -

GLM 4の使い方の基本  - 2.グループの活用法 -

グループ名を確定したら、画面が切り替わり、「キャリブレーションを開始」ボタンが現れますが、今回のケースでは、最初に測定したキャリブレーションの結果に対してサウンドキャラクターを変更したいため「AutoCalをスキップ」を選択します。

これで、フラットな補正のプリセットと、少し低音を強調したプリセット、2つのグループを、ワンクリックで切り替えることができるようになりました。便利ですよね!


グループは、複数の異なるリスニング・ポジションをプリセットとして保存する場合にも活用できます。例えば、メインのリスニング・ポジションに加え、クライアント等が座る部屋の後方にもリスニング・ポジションを設定し、それぞれをグループで切り替えるという活用方法です。

この場合、まず、ツールバーの“グループプリセット”>“複製”をクリックしてメインのグループを複製してから、“グループプリセット”>“Calibrate(キャリブレート)”をクリックして「Autocal - グループのアコースティックキャリブレーション」の画面を開きます。

GLM 4の使い方の基本  - 2.グループの活用法 -)

GLMの使い方  - グループの活用法 -)

マイクを新しいポジションへ設置し、“キャリブレーション開始”をクリックして再測定を行ってください。

これで2つ目のリスニング・ポジションのグループが作成され、作業中でもクイックにリスニングポジションを切り替えることが可能となりました!


グループには、異なるレベルオフセットを設定することも可能です。これは、例えば、スピーカーにアナログ接続とAES/EBU接続の両方の入力がある場合など、レベルの異なる入力ソースを切り替える必要がある場合に便利な機能です。

この機能により、全てのグループで再生レベルを均一に保つことが可能になるため、制作環境における音の一貫性が向上し、より正確な判断ができる様になります。

また逆に、単にボリュームをアップ(またはダウン)したグループのバリエーションを作成するときにも利用できます。

では、早速設定してみましょう。

まず、レベルオフセットを設定したいグループが選ばれている状態で、“グループプリセット”>“編集”を選択。ウィンドウが切り替わり「SAMグループ作成」のウインドウになります。

左カラムに表示される“グループの入力感度”に数値を入力することで、レベルオフセットを設定します。

GLMの使い方  - グループの活用法 -)

例えば、このグループをほかよりも7dB低くしたいという場合は、この項目の数値を“−7dB”として“グループ確定”をクリック。

AutoCal(サブウーファーがある場合は加えて「AutoPhase」)をスキップし、メインのウインドウに戻れば設定完了です。

設定した内容は、下記の様に各グループのボタンにマウスカーソルを当てることで表示されるツールティップで確認することができます。

GLMの使い方  - グループの活用法 -)

「グループの入力感度」を設定した場合、メインウィンドウ左側のボリューム・フェーダーに変化はありませんが、再生するとサウンドが-7dB低く再生されることが確認できます。つまり、このグループの最大音量は、−7dBに設定されているということになります。


グループは、ステレオや2.1チャンネル、サラウンド、イマーシブというように、レイアウトの切り替えにも活用できます。

GLMの使い方  - グループの活用法 -)

設定方法は2通りあります。

1:“グループプリセット”>“追加”を行う方法

システムレイアウトの画面が開きますので、「Blog | GLM の使い方 基本設定とキャリブレーション」に記載されている手順にしたがってキャリブレーションを行ってください。

この方法は、例えば、2セットの異なるSAMスピーカーを使用している場合(置き場所もモデルも異なる場合)などに有効です。

2:サラウンドのセットアップで、ステレオ作業用のLチャンネルとRチャンネルのスピーカーをサラウンドセットアップと共用している方にお勧めな方法

ここでは、7.1.4のイマーシブ・サラウンド・システムでGLMを使っている場合を例として設定方法をご紹介します。

まず最初に、7.1.4のシステム、すべてのスピーカー11本とサブウーファーを含んだ状態でをGLMを使って設定しキャリブレーションを行います。ここまでは通常のオペレーションとなります。

一旦、7.1.4のグループが完成したら、ツールバーの“グループプリセット”>“複製”をクリックして7.1.4のグループを複製します。

次に、切り替わった「SAMグループ作成」のウィンドウにて、グループ名を「7.1」と変更し、①グリッド上のハイトスピーカーのアイコンをクリックし、②“グループステータス”を“OFF”に変更します。これによりアイコンがグレーアウト表示となり、レイアウトから除外されます。そして、この作業を全てのハイトスピーカーで繰り返し、7.1.4を7.1にレイアウト変更します。

GLMの使い方  - グループの活用法 -)

最後に「グループ確定」をクリックし、AutoCalをスキップしたら、7.1グループの完成です。

この手順を、順番に繰り返すことで、2チャンネルのステレオセットアップも、2.1チャンネルのセットアップも自由自在に作成することができ、異なるレイアウトをワンクリックで切り替えることができます。

ちなにみに、グループの切り替えやボリュームコントロールなどをハンズオンで行いたい方は、4つのグループボタンを搭載した9320 SAM™リファレンス・コントローラーがお勧めです!

GLMの使い方  - グループの活用法 -)

最後までお読みいただきありがとうございます。GLMでのグループの活用は、日々のワークフローをさらに効率的に行うことをサポートします。

ぜひご活用ください!


※GLMのセットアップ方法は、動画でもご説明しております。