Genelec 8381Aがオーディオ評論家・小原由夫氏の「絶対的リファレンス」へ
※小原由夫氏への8381A導入にあたってのフルインタビューはこちら

今スピーカーに希求するすべての要素が
ほぼ満遍なく備わっていたわけです
「私にとって “リファレンス” とは、文字通りの "基準" です。それも、揺るぎない基準。プログラム・ソースに含まれる情報を細大漏らさず再現することはもちろん、それを脚色も湾曲もしない。そういう音がリファレンスたり得ると私は思っています。そこには忠実性も求められるし、信憑性も必要でしょう。そうすると、測定器的なイメージを持たれるかもしれませんね。確かにスタジオ・モニターにはそうした側面も要求されるでしょう。しかし、8381Aを初めて聴いた時、それだけではないファクターを感じたんですね。何というか、生命感というか、躍動感というか。生き物と対峙しているような生身の感触を音から感じました」
30年を超える長いキャリアを持つオーディオ評論家であり、大の音楽好きということでも知られる小原由夫氏の音に対する志向は、様々な音楽に触れるに従い徐々に変わってきたと話します。
「私もかつては好きなジャズを浴びるように聴くことが楽しみでした。でも、仕事を通じて色々な音楽を聴いていくうちに、少しずつ志向が変わってきました。簡単に言えば、音像追求から、俯瞰的な音場志向に変わっていったようなイメージを持っています。
一方で、80年代から00年頃にかけて、音楽の作り方もドラスティックに変わってきたでしょう? 特にここ20年ぐらいの音楽の作られ方、特に低音の対処、進歩には凄まじいものがある。そうなってくると、モニター・スピーカーの在り方も変わってきて当然と思うし、それを最も真摯に突き詰めて取り組んできたのがGenelecであると常に感じていました。しかし、流石にスタジオ・モニターを自宅に入れるところまで、まだ気持ちが傾いていなかった。なんせ、長らく共にしてきたTAD Reference Oneの音にゾッコンでしたからね。ここしばらくは」
そもそも小原氏は、かねてより愛用していたスピーカーに決して不満は覚えていなかったそうです。しかし、8381Aとの出会いが、小原氏を大きく突き動かすことになります。

「メディアのレビュー取材を依頼されたのが、奈落の底につき落とされることになった(笑)、そもそもの発端です。正直にお話すると、出掛けて、音を聴いて、その印象を書くという単純作業的なお仕事という認識でした。まさかそれがこんなオオゴトになるなんて、まったく想像もしていなかった。だって、さっきお話ししたように、私はTAD Reference Oneに惚れ込んでましたから。ちなみに、8381Aの第一印象は、"なんだこの存在感は" でしたね。特にトップ・エンクロージャの4基のドーム型スコーカーの辺りとかね。しかもあの真っ黒で無骨なデザインでしょ。
でもね、そこで鳴っていた音に雷打たれちゃったんですよ。こんなに鮮度の高い鮮烈な音なのに、どれだけ音量上げても崩れないし、兎にも角にも、うるさくない。低音も圧倒的な深みとスピード感で、ダルな振る舞いがまったくない。『これって38cmが3基鳴っているんでしょ、どーして?』って感じですよ。そこには、私が今スピーカーに希求するすべての要素がほぼ満遍なく備わっていたわけです。
で、帰宅してもその時の音が耳にこびりついて離れない。自宅でTAD聴いていても気もそぞろ。"あの音をこの部屋で鳴らしたらどうなるんだろう" という妄想がどんどん膨らんでしまって。その妄想がやがて煩悩に変わって……(笑)。それから体力的にも精力的にも、今だったらまだ新しいスピーカーを迎え入れることはできるって、高ぶっちゃった。でも5年後10年後は難しいかもしれない。そう考え始めたら、居ても立ってもいられなくなってしまって。そこでジェネレックジャパンにコンタクトしたわけですよ(笑)」
読者から信用足りうる感覚を持ってもらう条件として、信用できる機材を使うことが重要です
今回のリファレンス・スピーカーの入れ替えは、リアチャンネルに設置されたThe Onesシリーズの8351Bを含めて、非常に大掛かりなものとなりました。そもそも、およそ17年にもわたり愛用し続けてきたリファレンス・スピーカーを入れ替えるということは、オーディオ評論家にとって非常に大きな決断だったことは想像に難くありません。しかし、小原氏のモチベーションは最高潮に高まっているようです。

「"リファレンス" とは、読者から見て、ある種普遍的でなければならない。つまり、その人の評文を読んで、『この人はこのスピーカーを使い、このアンプで鳴らして、それでこういう評価なのかフムフム』とイメージできなきゃダメだと思うんですね。読者から信用足りうる感覚を持ってもらう条件として、信用できる機材を使うことが重要です。
アマチュアだったら自作でもヴィンテージ機器でも、何でも好きなものを使って好きな音を構築すればいい。しかし、評論家はそうはいきません。読者にとって、記事に書かれた操作性や音のパフォーマンスがイメージしやすく、しかもそこに再現性がなければいけない。私はそう考えて今日までやってきたし、そういう機材を使ってきました。それがオーディオ評論におけるプロだと思うんです。
最も大事なのは、Genelecのスピーカーは、最も安価なエントリー・モデルのG Oneから、このフラグシップの8381Aまで、エネルギー感やレンジ感は違っても、音調というか、サウンド・フィーリングは一貫しているということです。だからスタジオで大型のGenelecを使っているエンジニアが、出先で小型のGenelecをニアフィールド・モニターとして使っても違和感なく録音やミックスができるワケでしょ。
これからこの8381Aを使って仕事をしていくのが楽しみで、とてもワクワクしています。ともかく今強く実感しているのは、自分の耳に狂いはなかったということですね。プロとしての自信がこれまでに増してみなぎってきてますよ」
小原由夫
プロフィール オーディオ評論家。測定器メーカーのエンジニア、編集者という経歴をバックボーンに、オーディオおよびオーディオビジュアル分野に転身。ユーザー本位の姿勢でありながら、切れ味の鋭い評論で人気が高い。現在は浦賀で悠然と海を臨む「開国シアター」で、アナログオーディオ、ハイレゾオーディオ、ヘッドホンオーディオ、三次元立体音響対応のオーディオビジュアル、自作オーディオなどなど、ありとあらゆる分野を実践中。
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