イマーシブ・オーディオ

イマーシブ・オーディオは、従来のオーディオ・フォーマットでは不可能だった包み込まれるような迫力と臨場感を提供し、音楽や映画、コンピューター・ゲームに命を吹き込みます。

「空間オーディオ」「3Dオーディオ」「360度オーディオ」とも呼ばれるイマーシブ・オーディオは、複数のチャンネルを使用して2つ、3つ、あるいはそれ以上の「レイヤー(層)」でリスナーを完全に包み込みます。

イマーシブ・オーディオのフォーマットは増えており、音楽やビデオ・ストリーミングの世界でも企業がサポートするなど、イマーシブ・コンテンツへの需要はかつてないほど高まっています。いまこそ、その一翼を担う時です!

最高のイマーシブ・オーディオ体験は、音響的によく設計された部屋で、慎重にキャリブレーションされたスピーカー・システムを使用することで常に実現します。そのため、SAM™ スタジオ・モニターとサブウーファーは、GLMソフトウェアと密接に連携し、再生レベルや周波数特性、到達時間を完全に最適化させた拡張性のあるイマーシブ・モニター・システムを構築しています。

つまり、スピーカー、サウンド・バー、スマート・スピーカー、ヘッドホンのいずれで体験する場合でも、没入感のあるミックスがリスナーに正しく届いているということを信頼することができます。

また、ヘッドホンがイマーシブ・モニタリングのワークフローの一部となっている場合、Aural IDテクノロジーはモニターとヘッドホンの間のシームレスな移動を可能とし、本当に信頼のできるリスニング体験を可能とします。

イマーシブ・オーディオのフォーマット


Dolby Atmos

Dolby社によって2012年に提起された方式で、オブジェクト・ベースのイマーシブ・オーディオに広く対応しているのが特徴です。最大で128トラックを扱うことができ設置モニターは、64個まで対応しています。特徴としては、以下の点が挙げられます。

• メイン・サラウンドとハイトと呼ぶ2つのレイヤーで構成
• 家庭環境の再生には最大で7.1.4チャンネルまで対応
• ディスクリートで最大64個のスピーカー・フィードで映画再生を実現


Dolby Atmos Music

Dolby Atmos Musicは、2019年に音楽ストリーミング・サービスに対応したAtmosフォーマットです。Dolby Atmosと同様のワーク・フロー・ツールを提供しています。

• メイン・サラウンドとハイトと呼ぶ2つのレイヤーで構成
• 代表的なスピーカー・チャンネルは、7.1.4チャンネル、9.1.4チャンネル、9.1.6チャンネル
• ヘッドホンや認定されたスマート・スピーカーでも体験可能


Auro-3D

Auro-3Dは、2006年に提起されたチャンネル・ベースの方式で3レイヤーによって構成され、以下に述べるような各種フォーマットがあります。

• メインサラウンド・ハイト、そして Voiceof Godと呼ぶ頭上真上のチャンネルの3レイヤーで構成
• フォーマットは、7.1.2 から7.1.6(10チャンネルから14チャンネル)
• エキストラ・チャンネルとしてAuroMaxと呼ぶオブジェクト・ベースの拡張チャンネルを用意


360 Reality Audio

SONYが2019年に提起した360 Reality Audioは、オブジェクト・ベースの空間技術により、完全な360度のオーディオ体験を提供します。特徴として以下の点が挙げられます。

• リスナーの上下方向および周囲にチャンネルを配置する3レイヤー・システムで構成
• 対応する音楽ストリーミング・サービス(Amazon Music Unlimited、nugs.netが対応、2023年1月時点)にて、ソニーよりパートナー認定されたスピーカーやヘッドホンで体験可能
• LEFチャンネルは使用しませんが、サブウーファーによる低域のベース・マネジメントが可能



MPEG-H Audio

MPEGによって放送/ストリーミング用として提起されたMPEG-H Audioは、没入感の溢れるイマーシブ・サウンドと高度なパーソナライズ機能、アクセシビリティ機能を提供します。

• チャンネル数に応じて自由な構成が可能なアーキテクチャー(Scalable Architecture)
• オーディオ・オブジェクトはダイアログの拡張とパーソナライズが可能
• 高品質なイマーシブ体験の配信と、創造を強化


22.2

日本のNHKにより開発されたUHD-TV放送用のフォーマットでチャンネル・ベースにより3 レイヤーで構成され22.2 チャンネルが用意されています。

• 3 レイヤー構成で放送及び家庭視聴を目的
• 固定したチャンネル数とモニター配置により制作
• 家庭では、フルの再生または、縮小したチャンネル数で再生


DTS:X

2015年に提起されたフォーマットで、DolbyAtmos同様オブジェクト・ベースのシステムですが、モニターの配置は、あらかじめ決まっていません。

• メイン・サラウンドとハイト・チャンネルによる2レイヤー構成
• チャンネル数とモニター配置を指定し、音声レンダリンングが実施される
• 最大で32個のモニター配置と7.2.4チャンネルで構築


ITU-R and Pure Research

ITU-RがUHD-TVにおける現実的な3Dオーディオのあり方を要求案件として調査したフォーマットで、Pure Researchは、映像の有無にかかわらずモニター再生・バイノーラル再生に特化した規格となっています。

• 最少で3レイヤー・LFEはモノラルか2チャンネルで構成
• チャンネル数は、11から最大80チャンネル
• ITU-RはNHK SMPTEおよびEBUと、この規格の共同作業を推進

Genelec


5.1.4


フロントLCR: 3 x 8330または8331
サラウンド: 2 x 8330または8331
ハイト: 4 x 8330または8331
サブウーファー(LFE): 1 x 7360


7.1.4


フロントLCR: 3 x 8341
サラウンド: 4 x 8330または8340
ハイト: 4 x 8330または8340
サブウーファー(LFE): 1 x 7370


7.1.4


フロントLCR: 3 x 8351
サラウンド: 4 x 8340または8341
ハイト: 4 x 8340または8341
サブウーファー(LFE): 2 x 7370または1 x 7380


7.1.4


フロントLCR: 3 x 8361またはS360
サラウンド: 4 x 8351または8350
ハイト: 4 x 8351または8350
サブウーファー(LFE): 1 x 7380または2 x 7370


9.1.4


フロントLCR: 3 x 8351
サラウンド: 6 x 8351または8340または8341
ハイト: 6 x 8351または8340または8341
サブウーファー(LFE): 1 x 7380または2 x 7370


9.1.6


フロントLCR: 3 x 8361またはS360
サラウンド: 6 x 8351または8350
ハイト: 6 x 8351または8350
Subwoofer (LFE): 2 x 7380または1 x 7382

最適なイマーシブ・ソリューションについてのお問合せ

イマーシブ・オーディオにおける最適なソリューションについてのご質問は、「購入前のご相談および購入後の技術サポート」のフォームよりご連絡ください。


異なった室内条件においても正確な再生を実現する上で、モニターを設置した後に適正な調整を行なうことが重要となります。GenelecのGLMソフトウェアは、、数千ヶ所のリスニング・ルーム調査と10年におよぶ研究データを組み合わせ、どこでも手軽に正確な再生環境を構築することを可能とした測定調整ツールです。

イマーシブ・オーディオ・システムを構築した場合は、その配置と調整という組み合わせが最高の性能を発揮する上で不可欠となります。例え全く同一のモニターを設置したとしても、リスニング・ポジションで正確な調整を行わなければ、それぞれが異なる音色で再生されるという現象が生じるためです。そのためには、ディレイによる距離補正や再生レベルの統一、時間軸での補正や位相の調整を行う必要があります。GLMソフトウエアは、この問題を手軽に解決するた めのツールです。さらに映画音響で基準となるX-カーブ特性調整、ユーザーのカスタム設定などにさらなる追い込みを可能としています。 


モニター・コントロール

GLM™ソフトウエアは、PCあるいはMacベースで、日常の様々なモニター・フォーマットを瞬時に切り替えながらミックスを行うことができます。例えば、 2チャンネル・ステレオから5.1、7.1.4、あるいは22.2、19.3.12といった変更が正確かつ手軽に行えるメリットがあります。

GLM™は、様々なラウドネス基準値に応じた最適モニター・レベルのキャリブレーションやソロ、ミュート機能を備えユーザーは、多様なフォーマットの切り替え、モニター・システムやリスニング・ポジションの変更などを映像との同期を維持したまま一括でコントロールすることができます。


GLMについてさらに詳しく ›

GLM

構成要素
Immersive room Korea


現在大学を中心とした学術研究所や商業組織においてイマーシブ・オーディオの研究、開発が行われています。この動きは、将来の新しいフォーマットとなるであろう高度空間情報の伝達方式やバイノーラル伝送フォーマットでの主導的な地位を、世の中に先駆けて確立し利益を得ようという背景があります。

映画やゲーム、そしてVRにおけるバイノーラル伝送を満足させる上で、音源の持つ方向情報(Azimuth)のみならず、日頃私たちが聴いている間接音についても適切に再現できなければなりません。バイノーラル伝送では、直接音と間接音の知覚が個人によって異なる点やリアル・タイムでの頭の動きや体の動きも考慮したレンダリングが求められます。こうした要件を満足するために、バイノーラル再生システムでの処理負荷は大きくなりますが、可能な限り精度の高い再現が求められています。

イマーシブ・オーディオの実験検証システムは、主観評価結果やデータ集積の精確さを必要としますので、それらを満足する精緻なシステムが不可欠となります。Genelecでは、こうした目的のために同軸型のポイント・ソース再生が行えるモニターとして「The Ones」を開発しました。The Onesは、これまでの一般的なモニター設計では実現できない直接音と間接音の色付けを無くし、イマーシブ・オーディオの研究に必要絶対要件となる特性を実現しています。この特性によりThe Onesは、イマーシブ研究のみならずマイクロフォン制作といった分野までをカバーする状況を生み出しています。

研究目的に必要な全方向におけるモニターの放射特性要件については、これまであまり公表されることがありませんでした。Genelecのモニター群はこの要件 に適応した幅広い選択肢がありますので、ぜひ各モデルの詳細についてwww.genelec.jpで参照してください。

また、SAM™ スタジオ・モニターやサブウーファーは、すべてアライメント調整が可能なGLMソフトウエアに対応していますので、そのメリットについても詳しく 理解することができます。