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CAVEレーシング・シミュレーター

 

フィンランド・セイナヨキにあるCAVE本社にあるシモンズ氏のシミュレーターは、フォーミュラやGTレースの実際のレース環境を忠実に再現し、若手ドライバーが本番さながらにトレーニングできる環境を提供しています。シモンズ氏はこの施設を作る上での重要なパートナーとして、LEDディスプレイ技術の世界的リーダーAbsen、そして高品質な音響システムで業界をリードするGenelecとパートナーシップを結びました。

Genelec

最新鋭のCAVEレーシング・シミュレーター

最新鋭のCAVEレーシング・シミュレーター

シミュレーターのコンセプトについて、シモンズ氏は次のように述べています。「実際のサーキットとまったく同じ感覚をドライバーに体験させる必要がありました。映像に関しては、LEDモニターでもプロジェクターでも、レース環境を再現するのは比較的簡単です。そして、これは軽視されがちなのですが、今回のようにリアルなサーキットを再現するには、映像と同じくらい音響が重要な鍵となります」。臨場感のあるサウンドを実現するため、シモンズ氏はスピーカー技術で業界をリードするGenelecを選びました。シモンズ氏はその経緯について、「Genelecはフィンランドが誇る高級オーディオ・ブランドです。このプロジェクトでは、私たちのビジョンに共感してくれる地元の企業と手を組みたいと考えていました。正確で高品質なサウンドで定評のあるGenelecのシステムであれば、完璧な臨場感を再現できると確信していたのです」と語ります。

Genelecとのパートナーシップにより慈善財団が設立され、フィンランドの12歳から18歳までの若いドライバーたちに対し、シミュレーターを無料で利用する機会が提供されています。この施設では、先進技術を駆使したシミュレーターが利用できるだけでなく、データエンジニアや経験豊富なF1コーチによる指導体制も整備されており、若手ドライバーは幅広いトレーニングを受けることができます。このプロジェクトの目的について、シモンズ氏は「もちろん、車両の開発にも活用できますが、私たちはドライバー育成のための施設を作りたかったんです。稼働から1年以上が経過していますが、すでに多くの若手ドライバーのキャリア支援に貢献しています」と述べています。

本番さながらのリアルな臨場感を再現するには、優れたAVシステムが不可欠です。シモンズ氏が作成したアストンマーティンのシミュレーターには、10台の8340Aスタジオ・モニターと2台の7360Aスタジオ・サブウーファーが、フォーミュラ・カーのシミュレーターには、5台の8351Bスタジオ・モニターと1台の7380Aスタジオ・サブウーファーが採用されています。映像は、ドライバーの前方180度を囲む直径7mのAbsen製湾曲型LEDスクリーンに映し出され、リアルな視覚体験を再現します。そして音響システムとして、Genelecスピーカーが5.1チャンネルのレイヤーで上下に配置され、臨場感あふれるイマーシブ・サウンド環境を作り出します。シミュレーターに求められた音響システムの要件について、シモンズ氏は次のように述べています。「実際のレーシング・カーの中にいるような臨場感を再現するには、大音量のシステムが必要です。ヘルメットやパッドを装着した状態でもドライバーに音が届くだけの十分なパワーを持ち、なおかつバランスが取れクリアなサウンドでなければなりません。この点で高い技術力を持つGenelecが真価を発揮しました」

GLM

CAVEレーシング・シミュレーターのコックピット

CAVEレーシング・シミュレーターのコックピット

シミュレーターのサウンド・システムは、低く唸るエンジン音から、タイヤがコースをグリップする鳴き声のような甲高いサウンドまで、様々なレーシング・ノイズを再生し、それらすべてのサウンドは、本物のサーキットを走っているかのような感覚を提供するために細かい調整が施されています。シミュレーターが作り出す臨場感溢れるサウンドについて、「あまりのリアルさに、セッション中に自分が本当にサーキットを走っていると錯覚するドライバーもいるほどです」とシモンズ氏は笑みを浮かべます。

これまでレーシング・シミュレーターは、F1チームの車両開発用ツールとして使用されてきました。それに対しシモンズ氏のシミュレーターは、マシン開発を目的とするのではなく、ドライバーの育成に重点を置いている点が大きな特徴です。このシミュレーターを作った目的について、シモンズ氏は「F1チームがシミュレーターを使う主な目的は、マシンの性能をテストし、設計や改良に活用するためです。それに対して私たちは、若手ドライバーが実際のサーキットについて深く学び、レース中に起こり得る課題への対応力を身につけ、実践的な状況でドライビング・テクニックを磨く機会を提供するためにこのシミュレーターを開発しました」と語ります。

シモンズ氏が作成した2台のシミュレーターでは、いずれもGenelec GLMキャリブレーション・ソフトウェアが重要な役割を果たしており、驚くべき精度でチューニングが施されています。GLMによって得られたリアルな音響環境について、シモンズ氏は次のように述べています。「クリックひとつで完璧なバランスを実現できました。GLMソフトウェアによってすべての音響上の問題は最小限に抑えられ、一貫したサウンドが得られるようになりました。GLMテクノロジーのおかげで、臨場感がよりリアルになりましたね。ドライバーたちは本当にサーキットにいるような気分で運転できます。彼らからの評判も圧倒的に良いものばかりです」

アストンマーティンのシミュレーターに採用されたGenelec 8340

アストンマーティンのシミュレーターに採用されたGenelec 8340


CAVE Oy

エンターテイメント、シミュレーション、視覚化のためのハイエンド・ビジュアル・ディスプレイ・システムの設計と供給を専門とするフィンランドのエンジニアリング会社。

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