machìna

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そんなmachìnaさんの日々のプロダクションを支えているのが、Genelecのスタジオ・モニターです。「無色透明で、そのままの音が出てくれる」とGenelecのスタジオ・モニターを評価するmachìnaさんは、1029Aからのユーザーで、最近では8030と7050の組み合わせを愛用。machìnaさんの創作活動に無くてはならないツールになっています。フル・アルバムの制作真っ只中のmachìnaさんに、これまでの活動とGenelec製品の魅力について語っていただきました。

アーティスト | machìna


自分で歌うスタイルが私のアイデンティティー

―― 小さい頃から音楽は好きでしたか?

好きでしたね。ちょうど7歳になったくらいから、めちゃくちゃ音楽が好きになって。お母さんから聞いた話だと、一緒にカラオケに行くと、マイクを離さない子だったみたいです(笑)。家の中でも、テレビを観ながらずっと踊っていたり。だから音楽に関しては、聴くよりも自分で歌ったり踊ったりするのが好きだったんです。多分、自分の気持ちを表現する手段として、音楽が一番合っていたんじゃないかと思います。

―― 常に音楽が流れているような家だったんですか?

いや、そういう家ではなかったですね。音楽が好きなのは私だけでした。だから何でこんなに好きになったんだろうって、私自身も不思議なんですけど(笑)。

―― 学生になってからはバンドを始めたり?

歌はずっと歌っていたんですけど、バンドとかはやりませんでした。私が音楽をやることに両親は反対だったので……。「音楽は生活が安定しないから、ダメ」って(笑)。でも、どうしても音楽をやりたくて、お母さんに「私、音楽大学に行きたい」と言ったのが高校一年生のとき。もちろん、最初は「ダメ」と言われていたんですけど、何とか承諾してもらって。音楽大学ではジャズ・ボーカルを専攻しました。

―― 音楽を本格的に始めたのはそこからですか?

そうですね。ジャズは自由なところが凄くいいなと思って。ジャズは音楽的にもそうですけど、歴史なんかも勉強すると凄くおもしろかったりするんですよ。結局はブルースから来ていたりするんですけど。聴く音楽もジャズが中心だったんですが、やっぱり歌ものが好きだったので、チャカ・カーンとかも聴いていました。あとはジャズ・ボーカルとか、ソウルとか。

―― 日本語がとても流暢ですが、東京にやって来たのは?

2011年です。大学を卒業して、韓国でいろいろやっていたんですけど、日本のレコード会社さんに声をかけていただいて。私、子どもの頃から世界に出たい、もっと広い視野で活動したいと思っていたので、良い機会かなと思って東京に行くことにしたんです。それで自分のアイデンティティーを出していくには、やっぱり自分で曲を書かないとダメだろうと思って、Apple LogicProを買って。DAWで曲作りを始めたのはそれからですね。

アーティスト | machìna

―― 2016年リリースの2枚のEP、『Hear Me』と『Color Me』は、一部の音楽ファンの間でかなり話題になりました。

音楽的にはまだ手探りだったんですけど、消費音楽ではなく、普遍的な作品を作りたいと思ったんです。海外のアーティストは人生を賭けてアルバムを作って、それがずっと残っていくじゃないですか。私もそういう活動がしたいって。2枚目の『Color Me』を作って、ようやく自分のやりたい音楽が分かってきたんです。

―― それはどういう音楽?

大学時代はピアノやコントラバスといった生楽器と一緒にやっていたわけですけど、コンピューターを使って音楽を作り始めたら、自分はめちゃくちゃ機材が好きだってことが分かって(笑)。シンセサイザーの何がいいかって、自分だけの音を作れるじゃないですか。人とは違う自分だけの音を作れるというのが凄く好きなんです。
音楽的にはエレクトロニック・ミュージックではあるんですけど、人とは違うことをやりたいと考えたときに浮かんだのが、歌を使うということだったんです。私はずっと歌ってきましたし、自分で歌うスタイルが私のアイデンティティーになるんじゃないかと思ったんです。

―― 現在使っている機材をおしえてください。

DAWはAbleton Liveで、シンセサイザーで必ず使うのはMoog MusicSub 37とClavia DMI Nord Lead A1の2台ですね。ベースはすべてSub 37で、上モノでもよく使います。Nord Lead A1は、パッドの音が好きですね。リズムは、Vermona DRM1 MKIIIの音が大好きなんですけど、最近はサンプルを使うことも多いです。あとはやっぱりテープ・エコー。ローランドのRE-501を持っていて、あれは必ず使いますね。マスターにかけてしまうこともありますし。私、テープ・サチュレーションが好きで、そういうプラグインもあるんですけど、本物のテープ・エコーの方が自由で波のような音がするんです。最近Elektronのマシンも使い始めて、ライブ・パフォーマンスに凄く向いているハードウェアだと思うので、これからもっと勉強して、いろいろな方法で使っていきたいと思っています。

―― モジュラーも使ってますよね。

モジュラーは去年から使い始めたばかりなので、まだまだですね。めっちゃ奥深い世界です。キックや強めの音にモジュラーでエンベロープを足したり、いろいろな使い方をしていますね。

アーティスト | machìna

Genelecのスピーカーは、私にとってクラシック

―― Genelecのスピーカーの出会いをおしえてください。

私にとって、Genelecのスピーカーはずっと憧れだったんです。韓国のレコーディング・スタジオで聴いたことがあって、好きなアーティストも使っていたりして……。それで最初に手に入れたのは3年くらい前。中古で1029を買いました。自分の部屋で最初に聴いたときの印象は、何て言うかもう…… 素敵でしたね(笑)。そのときはまだよく分かってなかったんですけど、中古だったからか、良い感じでエージングされていて。もう大満足でした。
Genelecのスピーカーって、クラシックというかスタンダードな感じがします。モジュラーもクラシックな機材だと思うんですけど、Genelecのスピーカーも私にとってはクラシック。違う言い方をするなら、味が付いてなくて無色透明というか。スピーカーの良し悪しって、結局は好みの問題だと思うので、誰にも合う完璧なスピーカーって無いと思うんです。私はGenelecのスピーカーが一番好き。

―― 最近、1029を8030と7050に入れ替えられたそうですね。

もっと大きなスピーカーが欲しいなと思って入れ替えたんですけど、8030の音を初めて聴いたときは衝撃的でしたね。もう最近は家で音を聴くのが楽しくて(笑)。8030も、そのままの音が出てくれるところが気に入っています。一緒にサブ・ウーファーの7050も導入したんですけど、私がやっているようなエレクトロニック・ミュージックにはバッチリ。一般にエレクトロニック・ミュージックってハイファイな音楽なので、シャープなシステムの方が合うと思っている人もいると思うんですけど、私の音楽には歌がありますし、テープ・エコーといった古い機材も使うので、サブ・ウーファーを組み合わせたレンジの広さが凄く合ってるんです。

―― 8030のデザインはいかがですか?

凄く好きです。1029はスクウェアなデザインだったんですけど、8030はスムーズな形で。人間の体のようなやさしい感じがします。スタンドのIso-Podのアイディアもすばらしいと思いますし、本当に気に入ってますね。

―― ベッド・ルームで音楽を作っているクリエイターの中には、スピーカーを使わずヘッドフォンだけで作業している人もいますが、たとえ小さな部屋であってもスピーカーは絶対にあった方がいいと思いますか?

もう絶対にあった方がいいです。外でヘッドフォンだけでミックスすることもあるんですが、家に帰ってGenelecのスピーカーで聴くと、最初からやり直したくなる(笑)。特にライブ・パフォーマンスをするアーティストなら、スピーカーは絶対にあった方がいいと思いますね。

―― 少し前にリリースされた最新作『REBOOT』についておしえてください。

自分の音楽がようやく見えてから作った最初の作品です。だから『REBOOT』というタイトルを付けたんですけど。これまでは歌がメインだったんですが、今作では歌とバック・トラックを同列に扱ってますね。私のこれからの方向性を示したかったので、かなりサウンド寄りの内容になっていると思います。ただ、『REBOOT』はオフィシャルのリリースではなくて、もう4〜5曲追加してフル・サイズのアルバムとして正式にリリースする予定です。10月くらいには出せればいいですね。


machìna

プロフィール machìna(マキーナ)は韓国出身で東京を拠点に活動しているエレクトロニック・ミュージシャン。エレクトロニック・サウンドをベースとし、モジュラー・シンセサイザーや、アナログ・シンセサイザーを駆使し音楽を構築。その上にジャズのバックグラウンドで培われたボーカルをのせるといったスタイルを展開する。
太く光り輝くサウンドの質感は、聴く者の体に呼応しダンスさせ、リリックを通して心と魂に響く。オーディエンスを巻き込み一緒にエネルギーのハーモニーを作り出すライブは日本問わず世界中のコアな音楽ファンから高い評価を得ている。
2018年3月に米テキサスで開催された世界的な音楽ショーケース"SXSW(サウスバイサウスウェスト)"にも出演し、日本と海外をクロスオーバーに活動する今もっとも注目されているアーティストの一人。

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